新垣結衣・雪肌精のポスター映り込み事件で思うこと

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話題になった新垣結衣のポスター・瞳の映り込み事件

コーセーが謝罪するまでに至った、雪肌精のポスターのモデル・新垣結衣の瞳にカメラマンとスタッフが写り込んでいた件が話題になっていますね。

広告代理店で広告制作の第一線で働いている人間としては、話題の大きさに「災難だな」と思う気持ちはありつつも、あまりにお粗末でお話になりませんね〜、代理店アホやな、プププ、という冷たい目線で見ていました。

広告制作の基本と照らしあわせてコメントしていきたいと思います。(あくまで私見です)

SNSでの爆発的な話題沸騰を受けて、広告主のコーセーがTwitterアカウント上で謝罪する「事件」にまで発展してしまいました。

「一生懸命やっていた結果とはいえ、ご不快に思われた皆さまに深くお詫び申し上げます。申し訳ありませんでした」出典元:雪肌精公式Twitterアカウント

普段広告制作に関わっているという30代のカメラマンやデザイナーという肩書の方がこんなコメントをしていたのが印象的でした。広告代理店で働いている方の意見ではありませんね。多分。

ここまで媒体が大きくなる予定がなかったのかもしれません。 あとは目の中の写り込みまでは修正しないカメラマンもいます。

「レタッチのスケジュールをほぼとらず超タイトスケジュールで進行していたのかもしれません…。事務所サイドも、長期契約している仕事だとチェックを油断することがあるのかも」
出典元:ネタりか

化粧品の撮影で瞳のレタッチをしないなんてあり得ない

管理人は過去に、誰もが知っているビューティー商材を扱うクライアントを担当をしていたことがあります。

結論から言うと、ビューティー関連商材(化粧品・メイクアップ・美容関連)を扱うクライアントで、ある程度の広告出稿をしている規模のブランドであれば瞳のレタッチをしないなんてことはあり得ません

一般的なグラフィック広告で「レタッチャー泣かせ」と言われるほどレタッチの仕上がりに気を使うのが、「ビューティー」「車」「デ◯◯ニー」といったカテゴリーのブランドです。

ビューティで言えばレタッチのポイントはこんなところ。

①自社ブランドを使った際の使用感がきちんと表現できているか
②肌感(赤みやくすみ毛穴など)の調整
③瞳の映り込みや髪の毛の調整
④ライティングの調整
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例えばこちらのグラフィックで言うと、
まずは新しいルージュの色味がきちんと表現出来ているか、その次に全体的な肌の質感や瞳・髪といったポイントをレタッチで調整していきます。

瞳のレタッチは、映り込みを消したり光の加減を調整する・白目の充血を取るなどの作業を行うのは当たり前なレベルです。

仮に前述のデザイナー男性のコメントのようにレタッチに十分な時間を割けないスケジュールだったとしても、それが理由でレタッチの簡素化が行われることは決してありません。(つまりレタッチャーさんが徹夜して作業することになるだけ、ということです…)

レタッチの程度はブランド・事務所の希望による

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どの程度までレタッチをするかは、ひとえにブランド側のリクエストとタレント・モデル事務所の希望によります。

最近は過度なレタッチが一般の女性に誤解を与えているとして、海外の有名モデルなどが声をあげていましたが、本当にブランドやタレントによって求められるレベルは全く違います。

例えば「瞳のレタッチ」に特化して言えば、瞳に関連するブランドの要求が一番高いのは言うまでもないかと思います。

わかりやすいのがレンズ商材。
こちらはシードのサークルレンズ「アイコフレ」のカット。

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引用元:MARBLE

映り込みのかけらもない、バリバリのレタッチですね。瞳をいかにキレイに・大きく魅せるか、がブランドの命なので当然です。

ちなみに、肌の質感などは一般的に女性モデルの事務所は厳しいところが多いです。レタッチ前の写真を知っている人間としては、これ以上やったら詐欺だよ〜」っていうレベルのリクエストなんて日常茶飯事です。

展開される広告サイズは事前に把握しているのが普通

新垣結衣,ポスター,雪肌精,映り込み,カメラマン,広告代理店前述のコメントで「ここまで大きな媒体になることを想定してなかったのでは?」とのコメントがありますが出稿メディアが決定していない時点での撮影などほぼ無い、ということをお伝えしておきます。

広告制作の大まかな流れはこんな感じ。

①コミュニケーション戦略を考える(ターゲット・メッセージなど)
②クリエイティブアイディアを考える(キーコピー・グラフィックアイディアなど)
③コミュニケーションプランを考える(タッチポイント・メディアプラン)
④実制作(撮影・レタッチ・入稿)

撮影PPM・PPM資料の意味は?【広告用語集】の記事にも書きましたが、撮影時には必ずどんなカットを何カット撮るかを事前に決めて撮影します。

決定しているメディアプランにもとづいて「どんなレイアウトのどんなカットがいくつ必要か」、事前にすべての制作パターン(縦なのか横なのか、ポスターなのかバナーなのかなど)を想定して撮影カットを割り出してから撮影に挑むのです。

その際に、「どんなサイズの広告媒体なのか」を共有することも当たり前。

なぜなら、今回のようにB0サイズ×4連のような特大ポスターになる場合、高い解像度でデータを準備する必要があり、カメラマン・レタッチャーと共有しておく必要があるからです。(通常は重くなってしまうのでそこまで高い解像度を想定したデータでグラフィック制作はしません)

そして新宿駅をジャックするほど、このサイズの媒体がたくさんあったのであれば校正時に「原寸で確認」を一度くらいするべきだし、したのであれば気づくべき。

新垣結衣・瞳の映り込みは誰の責任か

騒ぎすぎじゃね?そもそも謝ることなのか?という心の中の意見はおいておいて、一連の騒動に責任の所在を求めるとしたら…

ひとえにブランド担当の広告代理店の責任ですね。

クライアントに公式な謝罪までさせてしまった時点で、代理店としてはアウト。

もちろん、最終的なOKを出したのはコーセーのブランド担当。ただプロである以上、世の中に発信していく広告の制作物は広告代理店がマネージしなくてはいけません。

カメラマンが気づかないレタッチのポイントは代理店のクリエイティブ担当者が、クリエイティブ担当者でも見逃してしまったものは代理店の営業担当者が、クライアント担当者に変わって責任を持つべきなのです。

それがブランドのコミュニケーションを担当する、広告代理店の役割です。

とはいえ予想外の話題っぷりで、今回の新垣結衣さんのポスターは想定していたリーチをかなり上回っているはず。。。せめてもの救いですかね。